私たちは日々、多くのことを学び、身につけようとします。
しかし、学んだことが「自分のもの」として本当に定着しているでしょうか?
ただ受け取るだけの学びでは、知識はやがて薄れてしまいます。実は、学びを確実に深める秘訣は、「教えるつもりで学ぶ」という与える姿勢にあるのです。
この考え方は、精神科医であり作家でもある樺沢紫苑(かばさわしおん)さんの提唱する「アウトプットの重要性」と、心身統一合氣道会が伝える「氣の学習の五原則」の五番目「指導者たる心がけ」において、見事に一致しています。
樺沢紫苑さんは著書『アウトプット大全』の中で、「インプット(読む・聞く)だけでは学びは浅く、アウトプット(話す・書く・行動する)をすることで初めて理解が深まる」と説いています。本を読んだら感想を人に話す。学んだ内容をSNSで共有する。誰かに説明できるレベルを目指す。これが、知識を「自分のもの」に変える方法だと述べています。
一方、心身統一合氣道会が大切にしている「氣の学習の五原則」の五番目「指導者たる心がけ」では、「学ぶときは、誰かに教える立場になるつもりで学びなさい」と教えられています。この姿勢は、単に技術を習得することを超えて、学びの質を変え、自己成長を促す大きな力となります。
教室では、学んだことを新しい会員さんに伝える場面がよくあります。それは、教える側にとっても大切な稽古です。人に伝えようとすると、自分が理解できていない部分が明確になります。説明することで記憶が整理され、技の意味や心の使い方もより深く実感できるようになります。
「教えるつもりで学ぶ」こと。
それは、自らの成長を加速させるだけでなく、学びを通じて他者に貢献するという、より高い目的意識にもつながります。樺沢さんの言葉を借りれば、「人はアウトプットすることで初めて本当に変われる」のです。
心身統一合氣道の学びもまた、技や型だけでなく、「人としてどう在るか」を探求するものです。ただ受け取るのではなく、誰かに伝えることを前提に、今日もまた学び続けていきたいものですね。