合気道からみた歩荷さんのプロ意識

katorisi – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
Yoichiro Unohttps://www.flickr.com/photos/y_uno/6017911333/, CC 表示-継承 2.0, リンクによる

歩荷(ぼっか)さんというお仕事をご存じでしょうか。荷物を運ぶ人ということですが、特に自然を守るために車などの運搬手段が使えないところへ荷物を担いで届ける人を指します。

数年前から録りためておいたテレビ番組を流し観していたときに観た「所さんの目がテン」の「歩荷(ぼっか)」さんについて驚いたことを紹介します。

物資の運搬手段が発達したとはいえ、広大な湿原である尾瀬などは生態系保護のため、車の乗り入れができません。そのような地域で荷物を背負って歩き、届けるのが歩荷さんのお仕事なのです。

歩荷さんが運ぶ荷物の重さは、軽くて30kg、平均では70~80kg、ピーク時には何と100kgを超えることもあるそうです。運ぶ距離は尾瀬で3.3km~12kmというから驚きです。大阪の人にしか分からないと思いますが、新大阪駅から天王寺駅までの距離に匹敵します。とても歩こうと思う距離ではありません。

さぞかし筋骨隆々のたくましい歩荷さんなのかと思いきや、そんなことはありません。私(浪花は175㎝、65㎏)と変わらないスリムな体型の歩荷さんばかりです。

なぜそんな非力とも思える歩荷さんが重い荷物を持てるのかというと、体の使いかたにあったのです。姿勢を整えて体の重心と荷物の重心を合わせることで、余分な筋肉を使うことなく軽々と重い荷物を持てるようになるのです。まさに心身統一合氣道の体の使いかたそのものです。

他にも

  • 階段で転ばないよう、つま先から下りる
  • よそ見をせず、進む方向を見る
  • 姿勢を崩さないよう手をブラブラさせない

というのが安全に荷物を運ぶコツだそうです。

もう一つ感銘を受けたのが、ゴール直前で休憩を取ること。
重い荷物を運んできたツラい表情を残さず笑顔で届けるため、身なりを整えるための休憩なのです。
体の使いかたといい、心遣いといい、私たちが日ごろ行っている合気道を、そのまま生かしたお手本というべきお仕事ですね。歩荷さんのプロ意識に脱帽です。

このように歩荷さんのご苦労を目の当たりにすると、山小屋で出される飲みものや食べものの値段が少々高くても文句が言えないですね。これからは感謝をしながらいただこうと思います。

筆者:浪花章生

大阪市住吉区、大阪府堺市西区浜寺石津で合気道教室を運営しています。合気道の楽しさ、奥深さを伝えて、会員さまも私も共により有意義な生活を送ることを目指しています。

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