数多くある武道の中でも、合気道といえば比較的安全でケガなどしないようなイメージがあります。
しかし、合気道も武道です。一瞬の気の緩みから大けがをしてしまうリスクを常にはらんでいます。
ですので、合気道のお稽古中は気を緩めることなく、真剣に取り組まなくてはなりません。
そのうえで、万が一ケガを負ったり、体調を崩してしまうこともあるでしょう。
そのときに、慌てることなく冷静に負傷者(病人)に手当ができるための講習として「救命講習」があります。
私も大阪で合気道教室を運営している以上、きちんと救命できる知識と技術を身につけておく必要があります。
(心身統一合氣道会で合気道の指導をしている立場としての義務でもあります。)
11月24日(日)13:30~16:30「普通救命講習Ⅰ」という講習を受けてきました。
場所は、当大阪あびこ教室から自転車で5~6分の「住吉消防署」。近所で受けられるのはありがたいです。
参加者は14名。女性の参加者が半分以上を占めていたのが意外でした。
一次救命処置
一次救命処置には、胸骨圧迫、AEDによる心肺蘇生法、気道異物の除去があります。
胸骨圧迫
傷病者が呼吸をしていなかったときに行うのが胸骨圧迫。昔は心臓マッサージと言っていたようにも思います。
肩を叩きながら「大丈夫ですか」と何度も呼び掛けても反応がない場合は「心停止の可能性」を考えて行動します。
安全の確認・反応をみる
むやみに近づいて自分がケガをしてしまったら元も子もないので、まず周りの安全を確認します。
「大丈夫ですか」と大声で呼びかけて反応がなければ、周りの人に助けを求め、119番通報やAEDの確保を依頼します。
呼吸の確認
傷病者を仰向けにして、胸やお腹の動きをみます。
普段通りではない呼吸(死戦期呼吸)も「心停止」と判断します。
胸骨圧迫
心停止と判断した場合は、直ちに胸骨圧迫を開始します。
AEDによる心肺蘇生法
AEDが手に入れば、AEDを使って蘇生を促します。電源が入れば、日本語で使い方が音声で流れますので、冷静でいればスムーズに使うことができると思います。
気道異物の除去
適切な対処の第一歩は、まず窒息していることに気づくことです。「苦しそう」「顔色が悪く声が出せない」「息ができない」などがあれば窒息している可能性があります。
異物を除去する方法として「背部叩打法」と「腹部突き上げ法」があります。
背部叩打法(成人)
背部叩打法(乳児)
ファーストエイド
(その他の応急手当)
一次救命処置以外の急な病気やケガをした人を助けるためにとる最初の行動をファーストエイドといいます。
救急隊が到着するまでの間や医師などに症状を診てもらうまでの間に、ファーストエイドを行うことで、症状の悪化を防ぐことが期待できます。
止血
ハンカチやガーゼなどで、傷口を直接強く圧迫します。
圧迫にも関わらず、ガーゼ等が血液でぬれてくる理由としては、圧迫位置が出血部位から外れている、または圧迫する力が弱いなどが考えられます。
やけど
すぐにきれいな流水で冷やします。
衣服の上からやけどしたときは、衣服ごと冷やしてください。
熱中症
涼しい場所に移動して安静にし、水分や塩分(スポーツドリンクなど)を補給しながら体を冷却してください。
回復体位
反応はないが、普段通りの呼吸をしている場合には、舌根沈下および吐物などによる窒息を防ぐため、傷病者を回復体位にし、観察を続けます。
まとめ
以上、紹介したのは講習の一部ですので、詳しくは大阪消防振興協会でご確認いただければと思います。
今回一人ひとり実技として行ったのが、胸骨圧迫とAEDの使い方でした。
胸骨圧迫の実技では、普段合気道の稽古で行っている体の使い方がとても役に立ちました。
腕の力ではなく、折れない腕で全身を使うこと、強すぎず弱すぎず、速すぎず遅すぎず、リラックスしながら実技ができました。
AEDの装着もスムーズに行うことができました。
あとはこれを「本番」で講習通りに行うことです。
「本番」が来ないのが一番ですが、いざというときに心をしずめて冷静に対処できるようにしておきたいですね。
【映像出典:大阪市消防局】
大阪市消防局YouTube