合気道の「争わざるの理」~ブルース・リーによる「戦わずして勝つ」とは~

私は子供のころからブルース・リーのファンで、よく映画を観ていました。
そのブルース・リーの実質的に最後の作品となった「燃えよドラゴン/Enter the Dragon(1973)」に面白いシーンがあったので紹介させていただきます。

武術トーナメントが開催されるハンの要塞島に向かう船上でのシーンです。
ニュージーランドのファイター、パーソンズがリーを挑発してきます。

(お前の流派は?)

My style? You can call it the art of fighting without fighting.
(私の流派?「戦わずに戦う芸術」というところかな。)

The art of fighting without fighting? Show me some of it.
(「戦わずに戦う芸術」?ちょっと見せてみろよ。)

Later.
(後でな)

Don’t you think we need more room?
(ここじゃ狭すぎると思わないか?)

Where else?
(どこでやるんだ?)

That island, on the beach. We can take this boat.
(あそこに島がある。この小舟で砂浜まで行こう。)

このようにして


相手が小舟に乗り移るや否やLeeはロープを伸ばして小舟を引き離していきます。

何やら叫んでいますが、もう戻ってくることはできません。

このように勝負を挑んできた相手に対し、冷静さを失わなかったブルース・リーが「戦わずに勝つ」ことができました。

以前このくだりを友達に話したら「それってただの卑怯者じゃないの。」と言われましたが、私にはブルース・リーの頭の良さに感心したものです。

この話ってもともとは日本から出たものなんですね。
塚原卜伝という戦国時代の剣士に、以下の逸話があります。

卜伝は琵琶湖の船中で若い剣士と乗り合いになり、相手が卜伝だと知ったその剣士が決闘を挑んでくる。彼はのらりくらりとかわそうとするが、血気にはやる剣士は卜伝が臆病風に吹かれて決闘から逃れようとしていると思いこみ、ますます調子に乗って彼を罵倒する。
周囲に迷惑がかかることを気にした卜伝は、船を降りて決闘を受けることを告げ、剣士と二人で小舟に乗り移る。そのまま卜伝は近傍の小島に船を寄せるのだが、水深が足の立つ程になるやいなや、剣士は船を飛び降り島へ急ごうとする。しかし卜伝はそのままなにくわぬ調子で、櫂を漕いで島から離れてしまう。
取り残されたことに気付いた剣士が大声で卜伝を罵倒するが、卜伝は「戦わずして勝つ、これが無手勝流だ」と言って高笑いしながら去ってしまったという。

 

なるほど、ブルース・リーのくだりと似ています。ブルース・リーはこのエピソードから「燃えよドラゴン」のシーンを思いついたのかもしれないですね。心身統一合氣道では「争わざるの理」を学びます。
(この「争わざるの理」は藤平光一先生の造語だそうです。)

相手が争いをしかけてきても心に受けずに導くことが「争わざるの理」です。
シチュエーションは違いますが、不要な争いを避けて勝つという点では通じるものがあるかもしれませんね。

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