もう随分前の話になります。
二段の昇段審査を受けたときのことですからもう25年くらい前でしょうか。

場所は栃木県本部の天心館道場。

藤平光一先生も見守られている中で審査を受けました。
ここで大きな失敗をしてしまうのです。
多人数掛けの審査で危うく相手につかまって潰されそうになったのです。

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多人数掛けとは

「多人数掛け」といっても合気道をしていない人には何のことか解らないですよね。
こんな感じです。

これは藤平光一先生による多人数掛けです。
50歳前後でしょうか。とても機敏に動かれているのが分かります。

このように多人数を相手に投げていく技を多人数掛けといいます。
それにしても先生の多人数掛けは豪快ですねぇ。
もちろん僕は先生のように上手に投げられるワケないんですけど。。

さて。

私が二段の昇段審査を受けた当時は五人掛けでした。
五人が一斉に向かって来るのですから、ちょっとでも氣を引くとつかまってしまいます。

ということもあり、当時の先輩からは

ゼッタイ氣を引いてはダメ!逆に相手に向かって行くんだ。
そうすれば相手の方がひるむから。

ハイ。わかりました。相手に向かって行きます。

といって審査に臨みました。

五人に潰されそうに

はじめーっっ!

始まりの号令とともに五人が一斉に向かって来ます。
先輩からいただいたアドバイス通り、相手に向かって行きました。

アレ?
つかまった?

全然ひるまへんし。。。

そう思っているうちに横からも後ろからも僕をつかまえに来ます。

うわ、アカンて。。。

その後はがむしゃらに動きましたが、詳しいことはよく覚えていません。

やめーっっ!

ふぅ、終わった?

何とか凌げたようです。

終わりの号令が聞こえてホッとしたのもつかの間、藤平光一先生に呼ばれました。

なんで相手に向かっていくの?

藤平光一先生はなかば呆れ顔でした。

バッカじゃないの!なんで相手に向かって行くの?
みすみす捕まりに行くようなもんでしょ。

氣を引いてはいけないと思って前に出たつもりだったんですけど。。。

向かって行かなくったって相手は来るんだから。
来たときに一人ひとり順番に投げていくだけでいいんでしょう。

おっしゃる通りです。「氣を引かない」意味を取り違えておりました。

がむしゃらに複数の相手に向かっていくだけでは捕まりに行くようなものです。
一度に複数の人の相手をしてしまうことになりますからカンタンに捕まってしまいます。
常に相手のカタマリの外に出るようにします。決して足を止めてはいけません。
そのようにして、向かってきた相手を一人ひとり順番に投げるようにするのです。
一度に相手をするのは常に一人だけ、とするのが鉄則です。

藤平光一先生の言葉は続きます。

アンタたちにはこれから苦労というものがイヤというほどやってくるよ。
そんなのに自分から向かっていこうなんて思っていたら潰されるよ。

自分から苦労に向かってはダメ、潰されるから

わざわざ迎えに行かなくったって苦労はやってくるんだから
自分から迎えにいくことないでしょ。
来たときに一つひとつ対処すればいいの。

心身統一合氣道ってホントに実生活と直結しているんですね。
これを聞いたのは25歳くらいのときで正直のところピンと来なかったのですが、今はよく分かります。

・苦労はイヤでもやってくるんだから自分から迎えに行かない
・来た苦労は氣を引かずに一つひとつ対処する

これを肝に銘じながらガンバッて精進してまいります。

宜しくお願いいたします。